「手術室の看護師はどんな仕事をしているの?」
「手術室看護師になる方法が知りたい」
「特別な資格が必要なの?」
手術室へ異動することになった方や、手術室看護師に興味がある方はそんな疑問をお持ちなのではないでしょうか。
手術室看護師は「オペナース」「オペ看」と呼ばれます。看護師の中でも、特殊な技術や知識を身につけることができる仕事です。
正看護師国家資格を取得し、手術室がある病院に就職することで、オペ看として働くことができます。
この記事を読むことで、オペ看の役割や業務内容、オペ看になる方法について詳しく知ることができます。
ぜひこの記事を参考にしていただき、オペ看の仲間になってください!
オペ看(手術室看護師)とは
オペ看は病院の手術室で勤務している看護師です。テレビドラマでも見たことがある方は多いのではないでしょうか。
かっこいいスクラブ姿に、ふわふわ帽子、サージカルマスク、ゴーグルという姿で働いています。
1つの手術は、手術執刀医・介助医師・麻酔科医・器械出し看護師・外回り看護師・臨床工学技術士などで構成されたチームで行います。
器械出し看護師と外回り看護師を担当しているのが、オペ看です。
手術室看護師(オペナース)の役割
手術室看護師に求められる大きな役割は以下のようなことがあげられます。
- 手術を安全に進めること
- 手術中の患者さんの安楽を守ること
- 患者さんの不安軽減に努めること
- 執刀医に気持ちよく手術をしてもらうこと
病棟での患者さんとの関わりとは違い、短時間で信頼関係を築き、安心して手術を受けることができるような関わりが大切になります。
そして、手術が順調に行われるためには、執刀医との関係づくりがとても大事です。
執刀医の特徴や手術の手技などを把握し、準備を整え手術が円滑に進むように配慮するのも手術室看護師の役割です。
オペ看は「器械出し看護師」と「外回り看護師」に役割を分担して、手術介助に入ります。
器械出し看護師(直接介助看護師)は器械の管理人!
器械出し看護師(直接介助看護師)は、その言葉どおり、執刀医に器械を渡すという直接手術の介助をする役割があります。
器械とは、手術で使用するメスや、ハサミ、コッヘルやケリーなどという鉗子類などの物品のこと。
ドラマでよく観る、
執刀医:「〇〇の手術を始めます。メス!」
看護師:「はい!」
と、執刀医の横に居てメスを渡す人。それが器械出し看護師です。
かっこいいよね~
あこがれちゃな
でもね、器械出し看護師は器械を渡すだけじゃないんだよ!
器械出し看護師は、次のような役割もあります。
- 手術の器械を事前に準備する
- 器械の滅菌確認
- 器械を手術の流れに応じて並べる
- 器械に不具合がないか確認する(破損やねじのゆるみ、紛失などがないか)
- ガーゼや器械が患者さんの体内に残存していないかを確認する
- 手術の進行を見ながら、適切な器械を渡す
- 検体の受け取り、保管
- 器械の後片付け
担当する手術で使用する器械の管理をしているというイメージです。手術中の安全管理をする重要な役割も担っています。
外回り看護師(間接介助看護師)は担当部屋のリーダー!
外回り看護師(間接介助看護師)は、手術を行う部屋の環境を整えたり、患者さんの不安の軽減に努めたりする役割があります。
外回り看護師はドラマとかだとあまり印象がないなぁ
そうだね。
見えないところで、手術を支える大きな存在として働いているよ。
手術をしている部屋の中の状況を一番に把握している、リーダーという感じです。
外回り看護師の主な役割は以下の通りです。
- 術前術後の病棟訪問
- 手術環境を整える(麻酔器や医療機器の準備、ベッドの準備、室温管理など)
- 麻酔科医と連携、介助(薬剤の準備など)
- 手術看護記録をとる
- 術中の患者状況を把握する
患者さんの管理や手術の進行状況を把握しながら、輸血の準備をしたり、必要な物品を器械出し看護師に渡したりと、さまざまなことをしています。
手術室の全体を見る力が必要になります。手術によって、2人など複数人で担当することもあります。
オペ看の日常日常について
実際にどんな1日を過ごしているのか知りたいな。
ある日の日勤帯と夜勤帯の仕事のようすを見てみましょう!
オペ看の1日のスケジュール
ある日の日勤
時間 | スケジュール |
8時30分 | 出勤、朝礼、午前中の手術準備 |
9時00分 | オペ1件目:手術患者さん受け入れ |
9時30分 | 手術開始 |
12時00分 | 手術終了、患者さん退室、病棟看護師へ申し送り、看護記録作成 |
13時00分 | お昼休憩 |
14時00分 | オペ2件目:手術患者さん受け入れ |
16時50分 | 夜勤者看護師へ申し送り、交代 |
17時00分 | 退勤 |
集中力が必要な仕事ですから、お昼休憩はしっかりとれるように配慮するようにしています。
日勤帯で終わらなかった手術がある場合は、夜勤者に引継ぎをします。比較的、日勤業務は定時に終わるようにしている手術室は多いです。
スタッフ一眼となって、定時に上がれるよう頑張っている施設もありましたよ。
ある日の夜勤
時間 | スケージュール |
16時30分 | 出勤、日勤リーダーから申し送りを受ける |
17時00分 | 日勤帯から手術の引継ぎ |
20時00分 | 手術終了、患者さん退室、病棟へ申し送り |
後片付け、看護記録作成、手術室準備、器械準備 | |
21時00分 | 休憩 |
22時00分 | 緊急手術受け入れ |
1時00分 | 手術終了、患者さん退室、病棟へ申し送り |
後片付け、看護記録作成、手術室準備 | |
2時00分 | 仮眠 |
5時00分 | 緊急手術対応、午前中の手術の準備 |
8時30分 | 日勤帯へ申し送り |
9時00分 | 退勤 |
夜勤がある病院は比較的、緊急手術が多く忙しいです。日勤帯よりも忙しくなる夜も…。休憩をはさみながら、次々に手術を受け入れていました。
夜勤はスタッフの人数が少ないので、ある程度、手術室看護師として独り立ちできるようになってから新人さんは夜勤につくように配慮していました。
手術に入っていないときは何をしているの?
オペ看は手術がない時は暇だと思われがちです。実は、手術介助以外にもやることがいっぱいあります。
- 手術部屋の準備
- 器械準備
- 術前・術後訪問(患者さんと面談)
- 中材業務(器材の滅菌、洗浄など。看護師がやらない施設もあります)
- 資材チェック、資材請求(外部の業者さんがやってくれる施設もあります)
- 手術マニュアルの作成、修正
- 業務改善、物品整理など
手術が多く忙しいと手術以外の業務ができません。手術が落ち着いている時間帯に、上記のような業務を行っています。
物品の不足や器械の不具合などがあると、手術を中止しなくてはいけなかったり、入室時間の調整をしなくてはいけなくなったりと、患者さんに迷惑が掛かってしまいます。そのようなことがないよう、日々の準備や確認が大切になってきます。
また、手術室にはマニュアルが不可欠です。手術手順のマニュアルは、スタッフ全員の宝物。
新人さんがいつ来ても指導できる環境を整えておくことも、オペ看の大切な業務です。
オペ看の特徴・メリット
手術室勤務と病棟勤務との違いはありますか?
業務内容は全く違うんだよ。
勤務形態も違ってくるから、手術室勤務の特徴やメリットについて説明するね。
一日の業務計画が立てやすい
基本的に、手術の予定は1週間分計画されます。当日の担当する手術も決まっていることが多く、一つの手術に集中して取り組むことができます。
執刀医は予定手術時間を事前に提示して申し込んできます。そのため、大体の手術終了時間を予測することができます。
手術が終わったらマニュアルを作成しようかなとか、緊急手術が入ったら〇〇さんが空きそうだからお願いしようかななど、業務の予定が立てやすいというメリットがあります。
病棟とは違い、ナースコールがないので、患者さんの対応で自分の業務が止まってしまうということがないのも、手術室の特徴。
夜勤が少なく、土日休みの職場もある
手術室の案件を探すと、夜勤体制をとっている病院は少ないように思います。比較的、日勤がメインで、平日夜間と土日祝日はオンコールという求人が多いです。
オンコールは月に3~4回くらい。夜勤の場合も3~4回くらいです。休日の予定も立てやすいというのがメリット。
実際に、小さいお子さんがいるスタッフやプライベートを重視したいというスタッフが多く働いています。
定時に上がれることが多い
手術室は定時上がりが基本です。緊急手術や予定手術が延長してるという場合以外、定時にあがれることが多いです。
仕事終わりに、習い事に行ったり、お友達と食事に行ったり、近場の日帰り温泉に行ったりと、プライベートを充実させることも可能。
私も実際、仕事終わりにサックスやピアノ、ゴルフを習いに行ったりしていました。放課後が充実します。
オペ看になる3つの方法
オペ看にますます興味がわいてきた!
でも、どうすれば手術室のナースになれるの?
手術室ナースになる方法は3つ!
- 正看護師資格を取得する
- 異動願を出す
- 他の病院へ転職する
正看護師資格を取得する
高校生や看護学生さんが手術室看護師になりたいと考えているのであれば、正看護師の国家資格を取得する必要があります。
看護専門学校または看護大学を卒業し、正看護師国家試験に合格しなくてはいけません。
2023年度の看護師国家試験の合格率は、新卒者で95.5%。全体でも合格率は90%以上です。
しっかり学習し、受験対策をしていれば大丈夫!めざせます!
異動願を出す
現在、病棟や外来などで勤務していて、手術室で働いてみたいという方は、同じ病院内の手術室へ異動してみるという方法もあります。
手術室のスタッフの人数はもともと少ないので、募集していないという場合も。一度断られても、何度かチャレンジしてみることをおすすめします。
熱意が伝われば、きっと希望を叶えてくれるはず…。
他の病院へ転職する
現在働いている病院に手術室がない場合や、どうしても手術室への異動願いが通らない場合には、他の病院の手術室へ転職するという方法がいいでしょう。
実際に、働いていた病院では手術室経験者しか異動できないと言われ、経験がなくても採用してくれる病院を見つけて転職した先輩もいました。今は、手術室看護師としてバリバリ働いています。
仕事をしながら転職活動するというのは、なかなか大変です。そんな時は、転職サイトをうまく活用するとよいでしょう。
希望の条件に合った求人を探してくれますし、面接の調整や履歴書の送付なども介入してくれます。
手術室看護師の気になるお給料事情
手術室は夜勤がないからお給料が少ないって聞くけど本当?
お給料がどうなのか気になるよね。
看護師の平均年収508万円
令和4年賃金構造基本統計調査によると、日本全国の看護師の平均給料は年収508万円。
勤務する病院の規模や勤務体制などにより前後します。手術室勤務は夜勤がない分、年収が少なくなるのは本当です。
夜勤をしていた病棟から夜勤がない手術室へ異動した場合の事例で説明すると、
夜勤手当:1万5000円×夜勤:月4回=6万円
となります。結構大きい金額ですよね。
実際に、夜勤のある病院から夜勤のない病院へ転職した際には、毎月のお給料が少なくなってしまい、生活水準を合わせるのが、正直大変でした…。
手術室勤務を選ぶ際は、ご自身のライフスタイルを考慮することも大切です。
手当てはあるの?
病院によって違いはありますが、手術室勤務でも手当はあります。
例えば
- 手術室勤務手当
- 危険手当
- 夜勤手当(夜勤がある場合)
- 早出・遅出手当(時間差出勤がある場合)
- オンコール手当(オンコールで呼ばれて出勤した場合、待機時間の手当)
などです。
勤務体制によって違いがあります。
どのような手当てがあるのか気になる場合は、就職先を検討する際に、どのような手当てがあるのかを確認するようにしましょう。
残業手当はもらえる?
もちろん残業手当も出ます。自分の勉強のための時間は勤務時間に入れてもらえない場合が多いですが、手術の介助をしていた、中材業務をしていた、翌日の準備をしていたなどは時間外労働とみなされ、残業手当はもらえる病院がほとんどです。
病院によって、残業の基準が異なります。病棟から異動したり、他病院へ転職すると、残業の基準の違いに戸惑うことも多いです。なかなか聞きにくいことですが、わからない場合は確認してみましょう。
オペ看になると身につくこと
手術室の看護師は病棟看護師にはない技術をもっているってほんと?
看護師としての基本的な知識は一緒だよ。
手術室の業務が特殊だから、+αの技術や知識を身につけることができるんだよ。
病棟看護師とは少し違ったスキルが身につくのが、オペ看の特権。
- 各診療科の手術に対する知識・スキル・経験
- 患者さんの状態を見極める観察力・洞察力
- トラブルが起きた時の冷静な判断能力
- 協調性・チームワーク・コミュニケーション能力
- 忍耐強さ・自分との戦い方
各診療科の手術に対する知識・スキル・経験
手術室では、様々な診療科の手術が行われます。外科、胸部外科、心臓外科、血管外科、整形外科、泌尿器科、眼科、皮膚科、形成外科、口腔外科、小児科などなど。
大学病院などは、各科ごとにチーム編成されているようですが、小・中小規模の病院だと、一通りの器械出し業務と外回り業務を担当することになります。
解剖や病態の知識、必要器械や物品についての知識、使用薬品についての知識など、幅広い知識を身に着けることができます。覚えることがたくさんあって、不安だなと感じたかもしれません。
はじめからすべて身についている看護師なんていません!徐々に経験を積み重ねて、自分の知識やスキルをつけていけば大丈夫です。
オペ看からキャリアアップする方法
手術室から他部署へ行き、キャリアアップを目指すことも可能です。
キャリアアップの事例として、以下のようなものがあります。
- ICU(集中治療室)
- 消化器外科
- 眼科(専門性を求められるクリニックなど)
- 美容外科クリニック
- 手術室(大規模病院、小・中規模病院へ転職)
ICU
手術が終わったあとの患者さんは、ICU(集中治療室)で経過観察します。(術式や症例によって異なります)手術室の経験があれば、手術中の患者さんの状態や術後の状態などの知識を、ICU勤務で活かすことができます。
麻酔介助で身に着けた挿管介助なども、急変時にとても役立つ知識です。
消化器外科
手術後の患者さんの経過を診たい、患者さんとのコミュニケーションを多くとりたいという手術看護師は少なくありません。そういった場合、手術を受ける患者さんが多い病棟へ異動をする手術室看護師もいます。
手術内容を知っているので、どこにドレーンが入っているか、患者さんの体内の状態はどうなっているのかがわかるので、術後の経過観察に役立てられる知識をたくさん持っています。
術前ケアや術後ケアに興味があるという方にはおすすめです。
眼科(専門性を求められるクリニックなど)
眼科のクリニックに転職するオペ看もいます。私もそのひとりでした。
白内障や緑内障の手術、レーシックなどを行っているクリニックが多いため、手術室経験があると即戦力として活躍することができます。
器械滅菌の知識や清潔不潔の操作などの知識があることや、眼科の手術介助の経験があることは強みになります。眼科の知識や看護を深めたいという方にはおすすめです。
美容外科クリニック
手術室からの転職と言えば、美容外科クリニックというイメージもあるのではないでしょうか。眼科同様、手術を行っているクリニックなどでは、手術室経験は役に立つと思います。
最近はヒアルロン酸注射やレーザー治療などが主流のクリニックも多いため、手術室の経験が採用に大きく影響するということがないかもしれません。
希望しているクリニックが、主にどのような施術を行っているところなのかを調べておく必要があります。
手術室(大規模病院、小・中規模病院へ転職)
手術看護を極めたい、他の施設の手術室も経験してみたいという手術室看護師に多いのが、他病院への転職です。
同じ病院で何十年も働いて手術看護を極めるという選択もありますが、新鮮な情報を求めて転職を希望する看護師も多いです。私もそのひとりです。
場所や環境が変われば、使用しているものや手術の手技も違ってきます。新しい器材を使用している施設もあるので、新たな知識や技術を身に着けることもできます。
環境を変えたい・知識や技術を増やしたいという方は、他病院への転職という方法がおすすめです。
オペ看が関連する学会
日本手術看護学会
手術室看護に関する学会として、日本手術看護学会があります。各地区ごとに会員を募集しています。入会は任意になります。
詳しい情報はHPを参照してみてください。
定期的に総会や学会が開催され、研究論文や文献の発表などが行われます。毎年、輪番制で各地で開催される学会では、他施設で行っている看護や業務についての研究発表を聞くことができます。
他施設のオペ看ともコミュニケーションをとることができるので、情報交換の場としてもとておもよい器械になります。
手術看護認定看護師や特定行為研修(周術期特定行為)看護師の育成など、手術看護を深めたいという看護師のスキルアップを応援してくれる制度もあります。
日本手術医学会
日本手術医学会は、医療従事者であれば誰でも入会可能です。定期総会なども行われ、周術期に関する研究や論文の発表が行われます。
日本手術看護学会は看護師がメインですが、日本手術医学会は医師や検査技師など多職種の会員が集まっているため、より視野の広い知識や情報を得ることができます。
詳しい情報はHPを参照してください。
手術室看護師の魅力・やりがい
手術室看護師って幅広い知識や技術を身につけることができるんだね。
その他に、魅力ややりがいってどんなところ?
手術室のスタッフや私の経験談をもとに、魅力ややりがいについてお話していくね。
魅力・やりがい①短時間で患者さんと信頼関係が築けるかが腕の見せ所
手術室看護師が患者さんと接することができる時間はとても短いため、その中でいかに信頼関係を築くかが大切になってきます。
緊急手術であれば、手術室に患者さんが来てから全身麻酔をかけて眠ってしまうまでの間10~20分程度のことも。その時間の中で、患者さんが手術に対して理解しているか、不安はないか、手術体位に影響する問題はないかなど、様々視点からアセスメントします。
患者さんから「そばにいてくれたから安心できました」
そう言ってもらえた時に、やりがいと喜びを感じられます。
魅力・やりがい②無事に手術が終わった時の達成感を味わえる
手術は執刀医、麻酔科医、看護師、臨床工学技士、臨床検査技師などで構成されるチームで行います『手術を無事に終わらせる』という共通の目的に向かって、共同作業をするというイメージです。
チームの一員として、手術に携われるというのも魅力の1つです。
どんな手術でも、終わった時の安心感や達成感は、手術看護のやりがいにつながります。
魅力・やりがい③看護師として成長していることを実感できる
手術室では、各病院の業務に沿った新人教育カリキュラムが組まれています。基本的な技術ができるようになったあとに、段階を踏みながら応用編へレベルアップしていく感じです。
手術介助ができるようになっていく過程が目に見えてわかるので、自分自身の成長が実感でき、やりがいにつながります。
経験録にチェックが増えていくことのが、とてもうれしいですよ。
魅力・やりがい④専門性の高い知識が身につく
手術室業務は感染予防や手術器具、術式などの知識が必要なため、特殊であると言われます。手術介助の手技以外に、麻酔関連の知識も身につきます。
看護学校や大学の授業や実習では、手術室について学ぶ機会はほとんどありません。実習中に1回手術見学ができるかどうか…という感じです。
新しいことが学べるんだ!というスタンスで興味を持って取り組むことが、早く成長できるコツ。勉強の仕方などは先輩がたくさん知っています。是非聞いて参考にしてみてください。
魅力・やりがい⑤生活リズムがつけやすく、人間らしい生活ができる
日勤業務がメインの手術室勤務は、生活リズムが崩れにくく、予定なども立てやすい職場が多いです。
夜勤を行っている手術室だと、夜中に緊急手術が入り、朝まで働いているという時もあり、体力的にもつらい夜勤明けというのがあったりもします。
比較的、日勤も夜勤も定時にあがることができるので、美容を気にしている女子にも優しい職場だと思います。日勤だけの手術室に転職して、明らかに体調がよくなったなと感じました。
年齢的にも、体力的にも、精神的にも、つらくなってきたな…と感じたら、手術室勤務という選択もありかと思います。
オペ看のちょっとここが大変。
常に学習することがある
大変だなと感じることは、常に新しいことをインプットする必要があるということです。医療機器の進歩は早いので、次々と新しい器械や手術手技などを医師たちは取り入れていきます。
それに合わせて、オペ看も手技を覚えたり、新たなエビデンスを学んだりと知識の追加が求められます。最近では、ダヴィンチや火の鳥などロボット手術が主流になりつつあります。
今までの経験をもとに、さまざまなことに取り組んでいかなくてはならないという点が、オペ看の大変さでもあり、やりがいでもあると感じています。
精神的・身体的負担が大きい
患者さんの命に直結する手術室の業務。そのため、精神的に緊張を強いられたり、プレッシャーがかかる場面が多いです。
執刀医から八つ当たりを受けることもあり、サウンドバックのようになることも…。また、器械出し看護師は、長時間立ちっぱなしになることもしばしばあります。
30代、40代と年齢が上がるにつれて、「体力的につらくなってきた」という先輩たちの声もよく聞かれます。手術室勤務に年齢制限はありません。
自分の体と相談しながら、無理なく働き方を考えることも大切です。
手術室に向いている人・向いていない人
手術室看護師に向いている人、向いていないっていうのはあるの?
わたしは向いているのかな…
看護師としての本質や仕事に対する意識の持ち方で、向いてる向いてないというのは、あるかもしれないね。
私自身の経験をもとに、向いている人、向いていない人の特徴をあげてみました。当てはまるからと言って、オペ看になれないわけではありません。
経験を積んでいくことで身についていくことの方が多いので、参考程度に見てください。
オペ看に向いている人の特徴5選
①向上心があって常に新しいことに興味がある人
勉強が好き、新しいことを学ぶことが楽しいと思える人は向いていると思います。新人の1年間はほぼ毎日、手術の予習、復習の繰り返しでした。
解剖整理、手術の手順、使用する器械など、新しい手術につくたびに学習が必要です。勉強してこないと、手術に入らせてもらえなかったことのもあります。結構厳しい職場でした…。
向上心を持って、積極的に勉強している人には、先輩方も一生懸命教えてくれます。
②チームで協力する仕事が好きな人
手術はチームプレーが大切です。手術室看護師としての役割を理解し、手術が安全に円滑に進むよう協力することが必要です。
1つのことをみんなでやり遂げることが好きな人は向いていると思います。
③コミュニケーションが上手にとれる人
手術室では、執刀医や麻酔科医、臨床工学技士など、多職種との連携が必要です。必要事項を伝達したり、確認したりという場合、的確なコミュニケーション能力が求められます。
コミュニケーションが苦手な医師もいます。話しかけにくい怖い医師もいます。緊張感の中でも、医師に声掛けができるということも大切です。
④緊張状態でも冷静な判断と行動ができる人
何年手術室看護師をしていても、手術に入るときは、器械出し看護師であっても外回り看護師であっても緊張します。
想定外のことが生じた場合も、冷静に状況を把握して動くことができる人は、手術室に向いていると思います。また、臨機応変に状況の変化に対応できることも大切です。
⑤精神的・体力的に忍耐強い
緊張した場面で、長時間立ちっぱなしという手術もあります。精神的にも体力的にもそれに耐えられる、忍耐強い人が向いていると思います。
時には、緊張状態の執刀医から八つ当たりをされることもあります。そのたびに泣いていたり落ち込んでいては、業務に支障が出しまいます。
多少の打たれ強さも必要な要素です。
手術室に向いていない人の特徴5選
①自己中心的な人
手術はチームで行います。自分勝手な思い込みや判断で行動することは、手術の進行に悪影響を与え、患者さんへ危害を加えることになってしまいます。
協調性をもって業務ができるというのが、基本的な要素だと思います。
②たくさんお給料をもらいたい人
生活をしていくためには必要なお金。看護師として働いて収入をあげていきたい方には、手術室の勤務条件は合わないと感じます。
手術室である程度の収入を得たいと考えているのであれば、夜勤があるところを選択するとよいでしょう。
③患者さんとのコミュニケーションを大切にしたい人
患者さんの話に耳を傾け、じっくりとコミュニケーションをとる看護をしたいという方には、手術室は向いていません。
手術室勤務のなかで、なかなかコミュニケーションが取れないことに疑問がわいたり、やりたい看護ができないという壁にぶつかることがあります。
自分の看護観を基準に、職場選びをすることも大切です。
④看護技術を身につけたい人
オペ看は日々の業務の中で、採血や点滴留置などの看護技術を実践する場面が少なく、技術を維持することが難しいです。
いろいろな看護技術を身に着けていきたい、専門技術を身につけていきたい、という場合は病棟など手術室以外の場所が向いていると思います。
⑤受け身でいる人
教えてもらうのが当たり前と思っていると、成長することができません。自分から積極的に勉強し、指導を受けようという姿勢が大切です。手術室は覚えること、身に着けることがたくさんあります。
先輩の技術を盗むつもりで取り組める人は、成長が早いように感じます。
まとめ
オペ看は、器械出し看護師と外回り看護師という役割を持ちながら、手術が安全かつ円滑に進み終了できるよう介助するという重要な役割を果たしています。
手術はチーム医療です。チームの一員として、手術に立ち会えとてもやりがいのある仕事です。
手術室では、短時間でコミュニケーションをとる技術や、臨機応変に対応する力などを身につけることができます。病棟などの業務と比べると特殊なため、はじめは戸惑うことが多いと思います。
緊張感から逃げたくなったり、勉強することが多くつらくなるかもしれません。しかし、手術室での経験はとても貴重ですし、大切にしてもらいたいと感じています。
手術室の知識は役に立たないとも言われますが、決してそんなことはないと思います。
一生懸命勉強した解剖や循環動態、麻酔に関する知識などは、手術室以外でも役立つものばかりです。
新しい自分と出会えるチャンス。オペ看の道へ進んでみるのもよいですよ!
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